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会社携帯はどこまで監視できる?位置情報、アクセス履歴は?
会社携帯の導入で懸念されるのが、従業員による私的利用です。各キャリアのサービスを使えば一定の範囲で監視が可能とはいえ、ルールの明確化や罰則の設定も欠かせません。私的利用を防ぐための方法とポイントを解説します。
目次
会社携帯の私的利用をチェックするには
(出典) pexels.com
従業員による会社携帯の私的利用が習慣になると、場合によっては利用料金が増加して経費の横領に当たるようなケースも出てきます。そこで、まず管理者が行いたいのは、会社携帯の利用料金を小まめにチェックすることです。
通話履歴・通話料を確認する
会社携帯は回線の契約数に関わらず、毎月の利用料金を一括で請求されるのが一般的で、私的利用に気が付くのは困難です。従業員一人ひとりの利用状況を把握するために、契約回線ごとの利用明細が確認できるサービスを活用しましょう。
例えばKDDI(法人向け)には、1通話ごとや1日ごとの明細が発行できる『通話明細サービス』があります。サービスの利用料は月額110円で、契約回線ごとの加入が必要です。
ドコモの携帯(5G・Xi・FOMA)の利用者は、管理サイトから利用額の内訳や料金明細内訳のデータをダウンロードできます。従業員や部門ごとに利用状況を把握すれば、問題の早期発見につながるでしょう。
ソフトバンクでは、管理者向けのウェブサイト『法人コンシェルサイト(無料)』の『ご利用料金分析サービス』で請求内訳の閲覧が可能です。
参考:
通話明細サービス | 料金・割引 | au 法人・ビジネス向け | KDDI株式会社
ご利用料金管理サービス | ドコモビジネス | NTTコミュニケーションズ 法人のお客さま
データ通信量を調べる
私的利用の積み重ねでデータ通信量が増えるとデータ容量の追加が必要になり、その分だけ利用料がかさみます。定期的に、データ通信量が不自然に増えていないかチェックしましょう。
ソフトバンクでは、法人コンシェルサイトで回線ごとのデータ通信量も確認できます。
さらに『一定額お知らせメール』を設定しておくと、通話料・通信料が一定額を超過した際にメールが届くため、迅速な対処ができるでしょう。
「月々の通信量が気になる」「料金の分析サービスがあるキャリアを利用したい」という場合は、法人携帯・社用携帯のベルパークにご相談ください。
参考:
[ご利用料金分析サービス]パケットの利用量を確認したい。 | よくあるご質問(FAQ) | サポート | ソフトバンク
一定額お知らせメール | ご利用料金分析サービス | モバイル | 法人のお客さま | ソフトバンク
会社携帯の位置情報の取得
(出典) photo-ac.com
GPS機能によって会社携帯の位置情報を取得すると、効率よく労務管理ができるようになります。位置情報を取得するメリットと、機能を活用する際の注意点を見ていきましょう。
位置情報の検索サービスを利用する
各キャリアでは、会社携帯の位置情報を取得するサービスを提供しています。
●位置ナビ一斉検索(ソフトバンク)
●位置情報ASPサービス DP2 PLS(KDDI)
●かんたん位置情報サービス(ドコモ)
例えば、ソフトバンクの『位置ナビ一斉検索』を利用すると、会社携帯を所持する従業員の現在位置がリアルタイムに検索できます。検索結果は地図上に表示されるため、従業員の動きが一目で分かるでしょう。ただし、利用には有料のサービスパックへの加入が必要です。
位置情報の取得サービスは、携帯電話が圏外にあるときや電源がOFFになっているときは利用できません。従業員の位置情報を取得する理由や方法を従業員にしっかり周知した上で、ルールを定めるのが望ましいといえます。
参考:
位置情報サービスDP2 PLS (ディーピーツー・プラス) | サービス | 法人・ビジネス向け | KDDI株式会社
かんたん位置情報サービス | ドコモビジネス | NTTコミュニケーションズ 法人のお客さま
従業員に対するプライバシー侵害に注意
会社携帯の位置情報の取得は、勤務態度に問題のある従業員への対策や災害対策にも有効ですが、プライバシーの侵害には十分な配慮が必要です。
従業員には労働時間中は雇用主の指示に従い、その職務に専念する義務があります。そのため、勤怠管理や労務管理という目的で、就業時間中の従業員の行動を会社が把握する分には問題ないと考えられます。
しかし、就業時間外の位置情報取得には合理的な理由がなく、プライバシーの侵害に当たる可能性が高い行為です。実際、違法性が認められた判決事例もあります。
インターネットのアクセス履歴確認・制御
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データ通信量が多いからといって、従業員が必ずしも私的利用をしているとは限りません。業務で地図や資料をチェックするためにインターネットを使用することもあるでしょう。制御のヒントや私的利用かどうかを見分ける方法を解説します。
ビジネス仕様の従来型の携帯を採用する
ビジネス仕様の携帯には、業務に不要な機能が使えない状態になっているものがあり、従業員の私的利用を制御するのに役立つでしょう。
例えば、ソフトバンクの『DIGNO(R) ケータイ3 for Biz』は、カメラとワンセグを搭載していません。データ通信は可能ですが、従来型の携帯なので動画閲覧には適しておらず、主な用途は通話やメールのやり取りとなります。
さらに、ソフトバンクの法人向けオプションには『ケータイ機能制御』があり、ウェブやメモリーカード利用など業務に不要な機能を、管理者側でまとめて制限することが可能です。なお、サービスを利用するには、法人向けの有料パック(法人基本パックプラス・法人基本パックプラス for 4G ケータイ)への加入が必要となります。
参考:
DIGNO(R) ケータイ3 for Biz | 法人ケータイ | 法人のお客さま | ソフトバンク
ケータイ機能制御 | 4G ケータイ | 端末別対応サービス一覧 | サービス・ソリューション | モバイル | 法人のお客さま | ソフトバンク
アクセス履歴閲覧も可能
各キャリアが提供する法人向けサービスの中には、アクセス履歴の閲覧やアクセス先の指定が可能なものもあります。
ソフトバンクでは、有料パック『法人基本パックプラス for 4G ケータイ(月額522円/1回線)』に加入すると、法人コンシェルサイトから『アクセス履歴閲覧(4G ケータイ)』の一括許諾設定が可能です。
従業員に許可を得て設定を行うことで、専用の法人ブラウザにおけるウェブアクセス履歴をチェックできるようになります。
管理者がウェブサイトのURLリストを指定すると業務上必要なサイトにだけアクセスできるようになるのが、『ウェブアクセス指定(4G ケータイ)』サービスです。同じく法人基本パックプラス for 4G ケータイの管理者の画面から、URLリストの追加・削除ができる仕様になっています。
参考:
ご注意 | アクセス履歴閲覧(4G ケータイ) | オプション | モバイル | 法人のお客さま | ソフトバンク
SoftBank ウェブアクセス指定(4G ケータイ) ご利用マニュアル|ソフトバンク
アプリのインストール状況の確認方法
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不要なアプリを会社携帯へインストールされることの対策も考えなければなりません。私的なSNSアプリによって会社の機密情報が外部に漏れたり、端末がマルウエアに感染したりすれば、会社は多くのリスクを負います。会社携帯の導入後は、アプリのインストール状況をしっかりチェックしましょう。
MDMを使えば一括で管理が可能
アプリのインストール状況のチェックには、『MDM(モバイル・デバイス・マネジメント)』を使うのが便利です。MDMは携帯を一元的に管理するためのツールで、端末管理を効率化したり不正利用を防止したりする目的で多くの企業が導入しています。
MDMを使わなくても、App StoreやGoogle Playにログインすればインストール状況の確認は可能です。ただ、利用台数が多いとチェックをするのに手間がかかってしまい、現実的ではないでしょう。一方、MDMは複数の端末を一括管理できるため、管理者の業務負担が大幅に軽減されます。
さらに、管理者が許可したアプリのみを使用可能にすることで、情報の盗難や漏えい・マルウエアの感染といった情報セキュリティーリスクを未然に回避できるでしょう。カメラやBluetooth・無線LANなどへのアクセスを制御する『デバイス制御機能』も搭載されています。
MDMで確認できない内容
MDMの導入によって、従業員の使い方を全て管理できるわけではありません。デバイス情報の管理やアプリのインストールの制御は可能ですが、以下のような内容はチェックできないツールが大半という点に注意が必要です。
●インターネットの閲覧履歴
●メールの送受信履歴
●チャットアプリの内容
●画像や動画の内容
MDMで確認できない内容をチェックしたい場合は、リモートスパイフォンアプリ『TTSPY』が有効です。リアルタイムで監視する機能を備えたスマホ専用の追跡アプリで、導入後は通話履歴・ブラウザの履歴・連絡先・アプリのドキュメントなどにアクセスできるようになります。
参考:パーレンタルコントロールのためのユニークで強力な監視ソフトウェア|TTSPY
トラブル防止には社内ルールも必須
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管理者がアプリやデバイスを管理・制御することも重要ですが、従業員の意識が変わらなければ会社携帯の私的利用は防ぎきれないといえます。管理・制御システムだけに頼らずに私的利用を減らすためには、『利用ルールの明確化』と『罰則規定の設定』が重要です。
私的利用の禁止範囲、モニタリングの範囲を明確に
私的利用と業務利用の線引きが曖昧な従業員もいるでしょう。会社携帯を配布する前に、明確なルールを決めておく必要があります。範囲を明確にした上で、業務ルールに禁止事項を盛り込みましょう。以下は、利用ルールの一例です。
●会社携帯は、業務以外での使用を禁止する。
●パソコンメールが使えるときは会社携帯を使用しない。
●禁止指示のあるアプリは絶対に使用してはならない。
●会社携帯を使用して、SNSに書き込みをしてはならない。
合理的な範囲であれば、従業員の同意がなくても利用状況のモニタリングはできます。ただ、従業員のプライバシーに関わるため、業務規則にその根拠と方法を記載するのが望ましいでしょう。
●情報漏えいをはじめとしたセキュリティーリスクを防ぐため、会社は従業員に貸与する携帯電話の操作履歴や閲覧履歴の調査を実施する。調査を従業員は拒むことができない。
●必要に応じて、会社は事前の周知なしで携帯電話の調査を行うことがある。従業員はこれに承知し、同意すること。
このような記載があれば、従業員の理解を得やすくなるはずです。
費用徴収や罰則の規定を設ける
利用ルールを明確にしただけでは、私的利用が減らない可能性があります。罰則規定を設け、会社携帯の私的利用には代償が伴うことをはっきりと伝えましょう。
ただし、罰則を受けるのは『故意に利用したケース』に限定するのが賢明です。罰則があまりにも厳しすぎると、会社への不満が高まる恐れがあります。以下は罰則規定の一例です。
●明らかな私的利用が判明した場合は、私用通話料金及びデータ利用料金を使用者から徴収する。
●私的利用が著しいと認められた場合は、会社携帯を会社に返還しなければならない。
●会社携帯を紛失・破損した場合は会社に報告をすること。報告の義務を怠り、会社に損害を与えた場合、会社は本人に損害賠償を請求できる。
ただ、罰則による私的利用の防止には一定の効果がありますが、『なぜ私的利用をしてはならないのか』という理由が分からなければ、根本的な解決には至りません。力だけで押さえようとせずに、理由や根拠をきちんと伝える姿勢も大切です。
まとめ
従業員に会社携帯を持たせると、社内外での連絡がスムーズになります。必要なアプリの活用により、業務効率が上がることも期待できるでしょう。
他方、会社携帯の管理方法やルールを確立しておかなければ、私的利用を防ぐのは難しいといえます。1台の会社携帯から流出した情報が会社全体に悪影響を及ぼす恐れもあるため、導入前の対策は必須です。
大手キャリアの法人向け携帯には、私的利用を未然に防ぐための機能やサービスがあります。「我が社に合う会社携帯を導入したい」という人は、ぜひベルパークにご相談ください。