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訪問看護のオンライン資格確認とは?
令和6年(2024年)6月より医療保険の訪問看護においてもオンライン資格確認(居宅でのマイナ保険証確認)が導入されることになっています。紙の保険証とマイナンバーカードの一体化に伴い、令和6年(2024年)12月2日からは原則義務化となります。
オンライン資格確認の導入により、医療事務の業務効率化が図れるほか、薬剤や特定健診情報を正確に取得できるため質の高い医療提供が可能といったメリットも多く挙げられます。
ここでは、オンライン資格確認とはなにか、導入のメリットや本格運用開始までに準備すべきこと等を解説します。
目次
オンライン資格確認ってなに?
病院や薬局では患者さんが加入している医療保険資格の確認作業が行われます。今までは健康保険証を受け取ってから、保険証記号番号、氏名、生年月日、住所等を医療機関システムに入力し確認する必要がありました。
オンライン資格確認では、マイナンバーカードを用いて患者さんの医療保険の資格情報をオンライン上で確認する仕組みです。従来の課題であった手入力の手間やミス、確認の待ち時間が発生する等の解決につながり、医療事務の業務効率化を実現します。
また、患者さんが同意すると診療/薬剤情報・特定検診などの情報を閲覧できるため、質の高い医療の提供も可能になります。
訪問看護のオンライン資格確認とは?
訪問看護でも病院や薬局と同様に医療保険の資格確認が必要になります。
訪問看護はなりすましのリスクが低いため、継続した訪問看護が定期的に行われている場合は初回時の同意のみで良いとされています。
2回目以降の訪問においては、事前に訪問看護ステーション側で資格情報を再照会することで、訪問時の確認業務を効率化できます。患者から聞き取るよりもより正確な情報を取得できるため、質の高い医療の提供につながります。
令和6年6月開始、12月2日から義務化へ
訪問看護のオンライン資格確認は2024年(令和6年)6月から始まります。開始後すぐに義務化されるわけではありません。マイナンバーカードと健康保険証の一体化(紙の保険証廃止)に伴い、令和6年(2024年)12月2日から訪問看護のオンライン資格確認が義務化されます。
遅くとも11月末までには必要端末やシステムの導入が完了するようにしましょう。
※患者さんがマイナンバーカードを保有していない、読み取りエラーが生じた等の場合は、「資格確認書」から従来のように医療保険の資格確認を行うことになります。
オンライン資格確認の義務化に伴う【経過措置】
マイナンバーカードと健康保険証が一体化される令和6年(2024年)12月2日時点でやむを得ない下記の事情がある場合は、期限付きの経過措置が設けられます。経過措置を受ける場合は令和6年(2024年)10月31日までに医療機関等向け総合ポータルサイトから届出が必要となりますのでご注意ください。
やむを得ない事情 | 詳細 | 期限 |
システム整備中 | 義務化の2か月前の月末(令和6年10月末)までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の訪問看護ステーション | システム整備が完了する日まで (遅くとも令和7年6月末まで) |
ネットワーク環境事情 | オンライン資格確認に接続可能な光回線ネットワーク環境が整備されていない訪問看護ステーション | オンライン資格確認に必要な光回線ネットワーク環境が整備されてから6か月後まで |
改築工事 | 改築工事中の訪問看護ステーション | 改築工事が完了するまで |
廃止・休止 | 廃止・休止に関する計画を定めている訪問看護ステーション | 廃止・休止まで (遅くとも令和7年6月末まで) |
その他困難な事情 | ・ 常勤の看護職員その他の従業者の年齢が、平成30年3月31日において、いずれも65歳以上※である場合 ・ その他上記4つの事情と同視できるか個別判断 |
特に困難な事情が解消されるまで |
訪問看護でオンライン資格確認を導入するメリット
訪問看護ステーションだけでなく患者さんにとってもメリットがあります。
例えば、訪問看護でオンライン資格確認をするメリットは下記が挙げられます。
・患者さんの診療/薬剤情報の正確把握が向上する
・災害時でも質の高い医療の提供ができる
・事務作業の業務効率化(手入力によるミスを防止)
・迅速な対応が可能になる
・訪問看護医療DX情報活用加算
・医療データの一元管理
患者さんの診療および薬剤情報を正確に把握
オンライン資格確認の場合、患者さんから聞き取るよりも正確な情報をリアルタイムに取得・確認できます。過去3年間分の「薬剤情報」と5年間分の「特定健診等情報」の参照が可能です。健康・医療データに基づいたより適切な看護につながります。
患者さんの医療データを一元的に管理ができるようになるため、複数の医療機関と情報共有も用意となり、連携医療の質も向上します。
災害時も質の高い医療提供が可能
能登半島地震を踏まえて、厚生労働省は特別措置(災害時モード)としてマイナンバーカードによる本人確認無しで薬剤や特定検診等の情報を参照できるようになりました。
災害によりマイナンバーカードやお薬手帳を紛失しても、オンライン資格確認により患者さんがいつも飲んでいる薬を迅速に処方することができます。
業務効率化につながる
今までは手作業での保険資格確認が必要だったため、入力ミスが発生することもありました。オンライン資格確認では、モバイル端末からマイナンバーカードを読み取るだけで情報の取得ができるため、看護師や訪問看護ステーションの事務スタッフの負担が軽減されます。
また、保険証の記載内容と実際の資格情報のズレを確認することもできます。
従来の保険証では、患者さんが会社を退職して資格失効しているかどうかを保険証だけで判断することはできません。そのため、保険証の有効期限が切れた状態のまま受診し、過誤請求となる事例がありました。
このように、オンライン資格確認では保険証の有効期限が切れているかを確実に確認できるため保険請求のミスやトラブルが減少するでしょう。
「訪問看護医療DX情報活用加算」が新設
訪問看護にデジタル技術を導入すると、月1回に限り5点(50円)が加算されます。DX化の取り組みを評価し、促進するために新設されました。この加算を受けることで、訪問看護ステーションはデジタル化のコストを一部カバーすることができ、更なるDX推進に向けた資金を確保できます。
オンライン資格確認導入に必要な作業
まず、オンライン資格確認導入に必要なネットワーク回線や端末等を準備する必要があります。主に必要となるものは以下の通りです。
・ネットワーク環境の整備
・オンライン資格確認用端末(PC)
・資格確認(マイナンバーカードの読み取り)のためのモバイル端末等を導入
・電子証明書発行の申請や取得
step1 ネットワーク回線の敷設
オンライン資格確認では「IP-VPN接続方式」または「IPSec+IKE接続方式」というセキュリティ要件を満たした環境が必要です。
敷設まで申し込みから1週間〜1ヶ月程度はかかるため、速めに導入支援事業者へ依頼しましょう。
ここでは一部抜粋して紹介します。
【IP-VPN接続方式】
事業者名 | 回線種別 |
NTT東日本・西日本 |
フレッツ 光ネクスト |
中部テレコミュニケーション株式会社 | ビジネスコミュファ光 |
株式会社QTnet | BBIQ |
光コラボレーション事業者 等 | 各事業者へお問い合わせください |
【IPsec+IKEサービス提供事業者】
事業者名 | サービス名 |
株式会社NTTPCコミュニケーションズ | IP-Members |
株式会社NTTデータ中国 | @OnDemand接続サービス |
富士通株式会社 | FENICSⅡユニバーサルコネクトアドバンス メディカルVPN接続サービス |
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 | セキュアネットワークサービスSecureMinderオンライン資格確認 |
導入支援業者の一覧は下記参考よりご確認ください。
参考 https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/online/online_04.files/claimsys35.pdf
step2 オンライン資格確認用端末とモバイル端末の用意
マイナンバーカードを読み取ることで資格確認を行うため、読み取りができるNFC機能が備わったモバイル端末を準備しましょう。現在お使いの業務用端末(スマホやタブレット)にNFC機能が搭載されている場合は、新たに準備する必要はありません。
※注意※
iPadにはNFC機能が搭載されておりません。現在お使いの業務端末がiPadの場合は、新たに端末を準備しましょう。
また、読み取った資格情報を確認する専用端末(PC)の準備も必要です。レセプト(診察報酬明細書)作成とは別に、オンライン資格確認用端末の用意が推奨されています。導入支援事業者が厚生労働省の推奨する仕様・動作環境に準拠した端末を用意してくれるので、まずは相談しましょう。
step3 電子証明書の申請・取得
オンライン資格確認を実施するには、安全にデータの送受信ができる通信として許可された端末であることを証明する「電子証明書」の発行が必要です。医療機関等向け総合ポータルサイトから申請を行い、ダウンロードすることで取得ができます。
電子証明書の発行には1,500円の発行手数料がかかります。
導入費用には補助金を活用しましょう
オンライン資格確認の導入に必要な費用を財政支援(医療情報化支援基金)する制度があります。基準とする事業額42.9万円を上限に実質補助してくれます。
ただし、補助金は令和6年(2024年)11月30日までに導入が完了し、令和7年(2025年)5月31日までに申請が必要です。補助金の申請を検討されている訪問看護ステーションは注意しましょう。
補助金申請は医療機関等向け総合ポータルサイトから行います。申請には領収書(写し)が必要です。見積書では精算の確認ができないため、証拠書類と認められません。
また、やむを得ない事情がありオンライン資格確認義務化の経過措置が適用される場合は、補助金の申請手続き期限も延長されます。
義務化されるまでのスケジュール
繰り返しとなりますが、6月からオンライン資格確認が開始され、12月2日からは義務化されます。上述した通り、補助金を申請する場合は11月30日までに導入完了していなければなません。逆算して導入の計画を立てましょう。
また、経過措置を受けるには令和6年(2024年)10月31日までに届出が必要となります。
モバイル端末は代理店経由がおすすめ
マイナンバーカードを読み取るNFC機能が搭載されたスマートフォンの導入はお得に契約できる代理店経由がおすすめです。代理店の場合、法人向けの特別価格を用意している場合があります。できるだけ月々の通信費を抑えたいとお考えの方には最適です。
代理店契約の場合、キャリアショップに来店する必要がありません。訪問・オンライン商談・メール・電話等で対応してくれるので、契約のための時間や手間を最小限にできます。
ベルパークでも対象モバイル端末を取り扱っています
ベルパークでもオンライン資格確認に対応したモバイル端末(スマートフォン・タブレット)を取り扱っています。ベルパークグループではソフトバンク・au・ドコモの3キャリアを取り扱っており、法人向けの特別価格でよりお得にご契約いただけます。
また、マイナンバーカードの読み取りの他に、「通話メインの利用で良い」「ビジネスチャットを利用したい」「セキュリティ対策や端末管理をしたい」等の要望に応じて貴社専用プランを提案いたします。
導入時の初期設定やフィルム貼り・ケース等のキッティングサービスも行っているので、手元に届き次第すぐにご利用可能です。
既にモバイル端末を導入済みの企業でも通信費のコスト削減をお手伝いします。お気軽にご相談ください。
まとめ
訪問看護にオンライン資格確認が導入されることで、医療現場の業務効率化だけでなく質の高い医療提供を実現します。オンライン資格確認の利用開始には端末の準備やシステム改修が必須となるため、令和6年(2024年)12月2日の義務化までに余裕をもって対応することをおすすめします。補助金の利用を検討されている場合は、医療機関等向け総合ポータルサイトより申請を忘れずに行いましょう。
また、モバイル端末の導入でお困りであれば法人契約可能な代理店へ相談すると、コストを抑えつつ最適なプランを見つけることができるでしょう。
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