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テレワーク化が進まない理由は?原因と解決方法についてご紹介します
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を機にテレワークへ移行する企業が増えています。
とはいえ、日本国内ではまだまだテレワークという働き方が一般的ではありません。テレワーク化が進まないのにはいくつもの原因があります。
ここでは、テレワークを進めるためのポイントをご紹介いたします。
目次
日本国内の企業ではテレワークの導入があまり進んでいない
日本国内ではテレワークの導入がそれほど進んでないといわれます。
デルテクノロジーズは2020年に「中小企業のテレワーク導入状況に関する調査」を行いました。
この調査で、テレワークを導入していると答えた日本企業は36%にとどまりました。
また、株式会社ネクストレベルが、働く成人男女948名に対して行った「テレワーク・リモートワークの現状」の調査では、回答者の約70%がコロナ禍以前とそれほど働き方が変化していないと答えています。
続いて、海外の事例を見てみましょう。
テレワーク先進国と名高いアメリカでは、多くの企業がテレワークを導入しています。
WorldatWorkが2015年に行った調査では、アメリカのテレワークの導入率はなんと85%にも及びました。
2015年というとコロナ禍よりもかなり前のことなので、アメリカでは早い段階からテレワークへの移行が行われていたことがわかります。
アメリカでは2010年に既にテレワーク強化法が制定されています。
法整備をきっかけに、各省庁ではテレワークの導入が義務付けられました。
大手企業がこれに続き、中小企業でもテレワークを推進する動きが高まったことから、現在はアメリカの大多数の企業にテレワークが浸透しているのです。
また、イギリスのテレワーク導入率は2010年の段階で約38%、ドイツでも2016年にテレワーク導入率が39%となっています。
欧米諸国では2010年頃からテレワークへの移行が進められてきたため、コロナ禍によって出社が難しい状況になってもスマートに仕事を続けることができました。しかし、日本企業の多くはテレワークのノウハウを持っていなかったため、コロナ禍に直面し業務が滞ってしまった例も多いのです。
また、コロナ禍にテレワークを実施したにもかかわらずテレワークがうまく浸透せず、テレワークを縮小したり取りやめてしまったりしたケースもあります。
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テレワークの導入が進まない企業が抱える問題点
テレワークの導入によって仕事の能率が上がるケースは多いものです。
しかし、日本の多くの中小企業ではテレワークへの移行が進んでいません。
テレワークの導入が進まない企業にはどのような背景があるのか、見ていきましょう。
1. テレワークによって効率が落ちてしまう
テレワークへの移行を進める段階で仕事の能率が落ちてしまう可能性は低くありません。
特に、これまで業務のほとんどを紙ベースで行っていた場合やITへの移行が進んでいない場合には、テレワークへの移行に手間がかかります。
紙ベースの業務をデジタルに対応させ、テレワークに必要なシステムを構築するまでの間には、通常の業務が滞ってしまいがちなのです。
デジタル化への移行が困難なことが、日本の中小企業のテレワーク移行が進まない大きな原因の1つといえるでしょう。
2. テレワークに適した業務がないと考えている
テレワークに向いている業種の代表にはIT関連や事務関連、エンジニアやクリエイティブ職などが挙げられます。
その一方で、テレワークに向いていない業態ももちろんあります。
たとえば医療系や接客業は人と向き合い人の手で行う仕事ですし、工場の作業や建設作業なども現場に行かなければ仕事になりません。
こういった業種ではテレワークの導入ができないと思われがちですが、職場内の事務や経理、人事などの部門であればリモートに対応できます。
とはいえ、多くの企業ではテレワークへの移行をあきらめてしまうか、最初から選択肢に入れないことがほとんどです。
3. テレワークの必要性を感じていない
テレワークに向いている業種であっても、テレワークを導入する必要性を感じなければ移行は進まないものです。
特に、社員数の少ない中小企業はテレワークを取り入れるほどではないと考えがちです。
もちろん、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴う緊急事態宣言のおりには、多くの企業がテレワークを導入する必要性に迫られました。
こういった緊急時にテレワークを導入できればリスクを軽減することが可能です。
また、テレワーク導入には、オフィスの維持や人材確保という面のメリットもあります。
しかし、これらのメリットは導入後すぐに享受できるものではないため、優先的にテレワーク導入の準備を進められない企業もなかにはあるようです。
4. セキュリティ面での懸念問題がある
テレワークを始めるにあたって何の準備も無くパソコンを社外に持ち出すのは考えものです。
セキュリティ対策をしていないパソコンを社外で使った結果、情報漏洩が起きてしまったケースもあります。
テレワークは社内での業務に比べ、セキュリティ面のリスクが高まる傾向にあります。
ウイルス感染などサイバー攻撃の対策に加えて、情報端末の盗難や紛失に関する備えも行わなければなりません。
また、PCに対してのセキュリティ対策だけでなく、社員一人一人へのITリテラシー教育も不可欠です。
テレワークを導入するかしないかを決定するうえで、社員のITリテラシーの低さからセキュリティ面での懸念が残り、テレワークを断念する企業も少なくありません
5. 進捗確認や情報共有労務管理がしにくくなる
テレワークには労務管理がしにくいという問題がついて回ります。
従来、多くの企業では出社時と退社時にタイムカードを押すという方法で従業員管理を行ってきました。
また、実際にオフィスで顔を合わせれば仕事の進捗状況は自然と把握できます。
しかし、テレワークでは上司やチームリーダーからすると部下の業務の進捗状況や、ちゃんと仕事をしているかどうかを把握しにくくなります。
また、テレワークを行う社員と出社している社員の間で情報共有に差が発生する場合もあるでしょう。
仕事をしているかをテレワークで判断するために社員の監視を行っている企業もありますが、監視されていると仕事がしにくいという意見もあり、なかなかテレワークへの移行が進まないのです。
このような点から、一時的にテレワークを試してみても結局出社が主になる企業は少なくないのです。
6. 帰属意識の高さが阻害要因になることも
日本企業で働く人の多くは会社への帰属意識が強いといわれます。
自分がどこに所属しているのかを重視したり、協調性を意識したりする傾向が強いために、テレワークへの移行がなかなか進まないのです。
顔を合わせてチームで行う仕事が得意なのは日本特有の国民性といえます。
まとまっていないと不安を感じるという人も多く、個人プレーを行うと抜けがけのように思われてしまう可能性もあります。
海外の多くの国では個を尊重する意識が強いため、テレワークにもすんなりと馴染めることが多いのです。
しかし、日本ではテレワークへの移行で個々に仕事を行うことになると、自信をなくし本来の力を発揮できなくなってしまう人もいます。
テレワークへの移行を進めるための問題解決策や対処法
テレワークに必要性を感じていない企業は少なくありません。
しかし、リスクを避けて業績を伸ばすためには多様な働き方を実現していく姿勢が必要です。
ここからは、テレワークを導入する意義や現状の問題を解決する対策法についてご説明いたします。
1. テレワークへの理解を深めることから始める
テレワークに適した業務がない、テレワークの必要性を感じていないといった問題に直面している場合は、まずはテレワークへの理解を深めていきましょう。
現在は政府が働き方改革を主導しており、多様な働き方を実現する動きも広がっています。
また、コロナ禍を乗り切るための対処法としてテレワークが導入された事例も多くあります。
テレワークは、企業にとって新たな戦略になります。
またテレワークという働き方を確立すれば、有事の際に企業が被るリスクを最低限に抑えることも可能となります。
まずは、テレワークの必要性やメリットを企業が正しく理解することが大切です。
テレワークを進める効果や問題点について調べたり、他社のテレワーク導入例をチェックしたりしながら、テレワークについて社員の理解を深めていきましょう。
マネージャーや管理職がテレワークについての情報収集を行い、その後従業員に周知するとうまくいきやすくなります。
なお、東京テレワーク推進センターのホームページでは、業種別に導入事例が掲載されています。[注1]
[注1]東京テレワーク推進センター「テレワーク実践事例紹介」
テレワークの導入方法や成果などが知りたい場合はぜひ参考にしてみるといいでしょう。
2. スモールスタートがテレワークを進めるカギになる
テレワーク下での進捗確認や情報共有が困難、帰属意識の高さが阻害要因になっているといった問題に対しては、試験的に少しずつ導入することをおすすめします。
いきなりテレワークの導入を進めようとしても計画はなかなかスムーズに進まないものです。
テレワーク導入には一定の時間や手間、コストがかかります。
準備不足でテレワークを進めた結果、うまくいかずに計画を縮小することになっては意味がありません。
テレワークを進めるのなら、スモールスタートを意識してみましょう。
たとえば営業チームや事務職のみに絞ってテレワークをスタートさせるなど、やりやすい方法を模索しましょう。
社員間での情報共有やコミュニケーションがスムーズに行えるようなツールの導入も大切です。
ZoomやMicrosoft Teamsといった無料Web会議ツールもありますので、試しながら自社にあったシステムを見つけましょう。
スモールスタートでツールの導入方法や業務の進め方を確認していけば、テレワークをスムーズに取り入れられます。
テレワークの成功例を共有しながら、少しずつテレワークの適用範囲を広げていきましょう。
3. オフィスのデジタル化・セキュリティ対策を進めることも大切
テレワークによって効率が落ちてしまう、セキュリティ面での懸念があるという場合には、テレワークを見据えてセキュリティ面に配慮しながらオフィスのデジタル化を推進することもおすすめの方法です。
従来の紙ベースのやり取りを続けていると、テレワークへの移行はなかなか進められません。
まずは社内にIT環境を整え、必要な資料はデータとして保管していくようにしましょう。
システムを導入すれば営業資料や計画書、請求書や領収書、帳票類などすべての紙資料をデータ化できます。
デジタルへの移行を進めればテレワークがしやすくなるだけでなく、紙資料を保管する手間も省けるようになり、スマートに事業を進められます。
デジタル化と同時に、適切なセキュリティ対策を行うことも重要です。
PCのセキュリティ強化はもちろん、社員に対するITリテラシー教育も行いましょう。
社外にパソコンを持ち出した場合、手元から手放さないというような基本的な意識付けも徹底する必要があります。
テレワークの意義や有効性を把握し、段階的な移行を進めていきましょう
日本国内ではなかなかテレワークへの移行が進んでいないのが現状です。しかし、テレワークへの移行には生産性の向上や社員の働きやすさの実現、オフィスのコスト削減など多くのメリットがあります。
まずは、自社にどのような問題があってテレワーク化が進んでいないのかを明確にしたうえで、適切な対処法を考えていきましょう。
スマートにテレワーク導入を進めるためには、テレワークの意義や有効性を理解したうえで、段階的な計画を立て、適切にデジタル化・セキュリティ対策を進める必要があります。