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格安SIMで法人スマホを利用する方法、注意点。通信の品質は?
通話料金を安くするために、近年は格安SIMを契約する企業が増えているようです。大手携帯キャリアのスマホに比べてコストを大きく削減できるものの、注意すべき点もあります。法人が格安SIMを契約する際に知っておくべきポイントを押さえましょう。
目次
法人で格安SIMを使うときの注意点
(出典) photo-ac.com
大手携帯キャリアのスマホに比べて、格安SIMは通話料金や通信料をかなり削減できるのがメリットです。ただし法人が契約を結ぶ場合、個人での契約以上に気を付けるべき点がいくつかあります。法人契約を結ぶ際、注意すべき点から確認しましょう。
MVNOの仕組みを把握しておく
格安SIMを契約するにあたり、MVNO(仮想移動体通信事業者)の仕組みを理解しておく必要があります。MVNOは大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)から回線を借りて、サービスを提供している業者です。
日本では2001年に登場して以来、大手キャリアよりも安い通話料・通信料で端末を利用できるサービス(格安SIM)として、利用者を増やし続けています。
格安SIMは業者により、借りている通信網が異なります。通信エリアの広さはドコモ、安定性はau、速度はソフトバンクといったように、キャリアによって回線の質が異なるので、契約を検討している格安SIMがどのキャリアの回線を利用しているのか確認が大事です。
どの程度のサポート体制か
格安SIMは大手キャリアと違い実店舗がない場合も多く、基本的に大手キャリアほどのサポートは受けられないので注意が必要です。
大手キャリアの場合は全国に店舗があり、端末の利用について相談したり修理に出したりできますが、格安SIMは業者によってサポート体制に大きな差があります。どういったサポートを受けられるのか、端末が故障した場合はどうすればよいのかなどを事前に必ずチェックしておきましょう。
法人契約ができるか
格安SIMはもともと個人向けに提供されていたサービスであり、法人向けの格安SIMは後発のサービスです。格安SIM業者によっては法人向けのサービスを提供していない場合もあるので、まずは法人が回線契約を結べるのか確認しなければいけません。
多くの場合、業者の公式サイトを確認すればすぐに分かりますが、個人向けか法人向けか明言していない格安SIMサービスもあります。法人での契約が可能なのか不明な場合は、業者に問い合わせて確かめましょう。
気になるのが通信速度
(出典) photo-ac.com
大手通信キャリアと格安SIMとの主な違いは、通信速度と回線の安定性にあります。格安SIMの方が通話料や通信料は安めですが、大手キャリアの回線と比べると、時間帯や回線の状況によっては速度が遅くなるケースが少なくありません。
ビジネスシーンで格安SIMを利用する際には特に、通信速度も考慮する必要があります。
格安SIMは通信速度が遅いとされる理由
格安SIMは大手通信キャリアから回線を借りてサービスを展開しています。そのため提供できる回線の容量には限りがあり、時間帯やエリアによって、通信速度が低下してしまう場合があります。
特に多くの人が端末を利用する昼食時や夕方の帰宅時間帯、また人口が集中しがちな都市部のターミナル駅などでは、限られた通信網にアクセスが集中し、うまくつながらなくなるケースがあるようです。
速度低下の頻度や程度については、格安SIM業者により違いがあります。公式サイトなどで通信速度を確認するのに加えて、ユーザーからの評判もチェックしておきましょう。頻繁に速度低下が起こっている格安SIMは要注意です。
使い方によってはサブブランド等を検討する
格安SIMには大手通信キャリアに比べて速度が劣る傾向はあるものの、全ての低価格サービスが必ず遅いわけではありません。大手キャリアのサブブランドとして提供している低価格サービスもあるからです。
サブブランドと呼ばれるサービスの例には、『UQ mobile(au系列)』や『ワイモバイル(ソフトバンク系列)』が挙げられます。サブブランドはキャリアの系列会社が提供しているため、三大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)のサービスと遜色ない通信速度を享受できます。格安SIMと三大キャリアの中間的な位置づけのため、格安SIMよりも安定した通信を求めるならば、利用を検討しましょう。
楽天モバイルは独自の回線設備を持つキャリアの位置付けでありながら、廉価なプランを提供しており、高い顧客満足度を得ています。ただし、パートナー基地局の電波を利用するエリアもあるため、事前に『楽天モバイル対応サービスエリア』の確認が必要です。
格安SIMでは通話料が高くなりがち?
(出典) photo-ac.com
格安SIMは大手通信キャリアのサービスに比べて、通話料やデータ通信料が安い傾向にあります。しかし利用の仕方によっては、逆に通話料が割高になってしまう可能性があるので注意が必要です。その理由として、格安SIMには無制限のかけ放題プランが少ない点が挙げられます。
無制限のかけ放題プランが少ない
格安SIMの場合、無制限のかけ放題プランは少ないのが現状です。時間を気にせず通話をしたい場合は、大手キャリアの『かけ放題』プランの方が割安になる可能性があります。
例えばソフトバンクの場合は、通話オプションとして月額1,980円の追加で、24時間いつでも国内通話を無料にできます(2022年5月時点)。ドコモやauでも同じようなプランが用意されており、長時間通話するならば、格安SIMの従量課金プランを利用するよりも料金が安くなるケースは少なくありません。
格安SIMの通話料の目安
格安SIMの通話料は、30秒ごとに11~22円ほどの料金が発生するのが相場です。一定条件下で専用アプリを利用する場合や、設定された時間の制限内で通話する場合は定額というケースも多いですが、それを超えた場合には一定時間ごとに料金が加算されます。
たとえ基本料金が安くても、社員の通話状況によっては、毎月の料金が高額になる場合もあるでしょう。特に企業が利用するならば、取引先やクライアントとの通話がどうしても長くなってしまうケースがあるはずです。時間を気にせず社員に通話をしてもらいたいならば、大手キャリアの『かけ放題』プランも検討しましょう。
なお低価格サービスでも、サブブランドならば、ワイモバイルの『スーパーだれとでも定額(S)』のようなオプションが用意されています。
データSIMには独自の注意点も
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データSIMを契約する際の注意点も押さえておきましょう。音声通話SIMと同様、個人での契約以上に気を遣うべきポイントがあります。
データSIMと音声通話SIMがある
格安SIMにはデータSIMと音声通話SIMがあり、それぞれ次のような特徴があります。
- データSIM:電話回線を利用した通話ができないデータ通信専用のSIMカード
- 音声通話SIM:通話とデータ通信のどちらも利用できるSIMカード
スマートフォンといえば、通話機能とデータ通信機能の両方を利用できるのが一般的ですが、データ通信のみ利用できる、より低価格なデータSIMも人気です。
単に安いからという理由でデータSIMを契約すると、通話ができないので注意しましょう。ただし、LINEなどのアプリを使った通話やIP電話など、データ通信を利用した通話は可能です。またオプションでSMSを追加できるサービスもあります。
通話への影響、セルスタンバイなどの可能性
データSIMはインターネット回線を利用した通話はできますが、通話の品質は回線の状況に依存します。回線が混雑する時間帯や通信障害が発生している場合、うまく通話できない可能性がある点は覚えておきましょう。通信速度が遅くなると、通話の品質も下がってしまいます。
音声通話SIMならば110番や119番への緊急通報が可能ですが、データSIMではできない点にも注意しましょう。さらにデータSIMは電話回線を利用できないにもかかわらず、端末によっては通話回線に未接続の状態(セルスタンバイ)になると、接続する基地局を探す機能が働く場合があるようです。
特に電話回線が圏外の場所に端末を置いておくと、セルスタンバイが起こってバッテリーが早く消費されるケースがある点も覚えておきましょう。
通信会社の選び方
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続いて格安SIMの通信会社の選び方を解説します。法人契約の場合は、端末を利用する社員が実際にどのような使い方をするのか事前に調査し、状況に合った格安SIMサービスや料金プランを選択することが大事です。特に以下のポイントを意識して、自社に適したサービスを選びましょう。
使い方に合っていてコストを抑えられるか
格安SIMは、利用料金が大手キャリアに比べて安いのが最大のメリットですが、料金以上に社員の使い方に合っているかが重要です。まずは実際の使用環境を確認し、その上で最も費用対効果が大きくなるサービスを選ぶ必要があるでしょう。
そのためには、大手キャリアやサブブランドのサービスを含め、複数の通信会社のサービスを比較する点が重要です。音声通話SIMにするか、データSIMにするかも選択しなければいけません。
利用環境によっては契約しているデータ容量を超過し、速度制限が発生する可能性もあります。高速データ通信が必要ない企業ならば問題ありませんが、頻繁にデータ通信が必要になる環境の場合は、利用量に合った通信プランを慎重に選ぶ必要があります。
契約期間や途中解約金の有無
格安SIMによっては、12カ月程度の最低利用期間が設けられているサービスもあり、期間内に途中解約した場合は違約金を請求されるので注意しましょう。利用する期間を事前に決め、できるだけ途中解約でも費用がかからない契約をすることが大事です。
なお、最低利用期間がなく費用が一切かからない格安SIMもあるので、どれぐらいの期間にわたり利用するのか不明な場合は、いつでも解約できるサービスを選ぶとよいでしょう。
大手キャリアやサブブランドのサービスの場合、契約期間の縛りや契約解除の費用が廃止されているため、特に契約期間を気にする必要はありません。
セキュリティ対策
法人契約の場合、個人よりも強固なセキュリティの下でサービスを利用しなければいけません。契約を検討している格安SIMがどのようなセキュリティ体制を敷いているのかという点や、どういったセキュリティ機能が利用できるのかという点を確認しましょう。
例えば、複数の端末をリモートで一元管理できる法人向けサービスを提供している格安SIMもあります。万が一、社員が端末を紛失したり盗難に遭ったりした場合、管理側で端末のロックやデータの削除などができる機能です。通信会社のヘルプデスクが遠隔操作したり、データの消去を実行したりするサービスもあります。
端末の紛失や盗難は機密情報の漏えいにつながるので、セキュリティに関する機能が充実しているサービスを選択しましょう。
利用可能な端末
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格安SIMでは、回線契約と同時に端末の新規購入も可能ですが、既存の端末も利用できます。格安SIMで利用できる端末を確認しておきましょう。
SIMフリー、SIMロック解除済みのスマホ
既存の端末で格安SIMのサービスを利用するには、SIMフリーの端末やSIMロックが解除された端末を用意しなければいけません。これまで大手キャリアのサービスを利用していた場合、SIMロック解除の手続きが必要になるので注意しましょう。
ただし、たとえSIMロックが解除されていても、端末によってはサービスが利用できない場合もあります。どの端末でも格安SIMが必ず利用できるわけではないため、契約前に必ず対応機種を確認しましょう。
同時購入の場合は種類が限られる
回線契約を結ぶのと同時に端末も新規で購入する場合、購入できる端末の種類が限られてしまいます。毎月の通信料は安くても、通信会社から購入できる端末が高額だったり、導入したい端末がなかったりするケースは少なくありません。
自社で利用したい端末が決まっている場合は、それが契約を検討している格安SIMで利用できるか確認した上で、別に用意する必要があります。
テザリングを利用したい場合
ビジネスシーンでは法人契約したスマートフォンの回線を利用して、ノートパソコンやタブレット端末で通信する『テザリング』を使用したい場合もあるはずです。
テザリングが使えるかどうかは、利用する格安SIMの回線と端末の組み合わせによります。各通信会社が公開している、動作確認端末の一覧をチェックしてみましょう。公式サイトから確認できない場合は、通信会社に直接問い合わせて確認する必要があります。
法人で格安SIMを利用するまでの流れ
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格安SIMを法人契約し、利用するまでの流れを確認しましょう。通信会社によっては細かい契約プロセスが異なる場合もありますが、以下の流れで契約を結ぶのが一般的です。
申し込み方法を確認
まずは契約したい格安SIMの公式サイトで、申し込み方法を確認しましょう。個人契約の場合、多くの格安SIMでWeb申し込みが可能ですが、法人契約の場合は申込書の提出を求められる場合がほとんどです。公式サイトから申込書をダウンロードして、必要書類とともに郵送しましょう。
個人契約とは違い、登記簿謄本や印鑑証明書に加えて、契約担当者の本人確認書類や社員証(または名刺)などが必要になります。申込時に必要な書類に関しても、格安SIMの公式サイトで確認しておきましょう。
お試しができる通信会社も
法人契約の場合、1週間といった期間限定でお試し利用ができる通信会社もあります。お試しができるサービスならば、実際の回線速度や利用可能なエリア、機能の使い勝手などを事前にチェックしておくことをおすすめします。
営業先や出張先などで確実に利用できるように、地方や郊外でも通信できるかという点も調べておきましょう。既存の端末を使って格安SIMを利用する場合は、その端末で問題なく通信できるか確認する必要があります。
初期設定は自社で行う
格安SIMの場合、端末へのSIMカードの挿入や初期設定に関しては、基本的に自社で行う必要があります。
SIMカードのセット方法や初期設定の方法は、基本的に契約時の資料として添付されますが、各通信会社の公式サイトにも記載されています。
端末数が少ない場合は社内の担当者が初期設定まで完了させてもよいですが、端末数が多い場合は、初期設定までのやり方を周知して端末を利用する社員自身に任せるとよいでしょう。
支払い方法の選択肢
格安SIMの利用料金の支払いは口座振替や銀行振込が基本なので、どちらかを選択することになります。クレジットカードでの支払いが可能な通信会社もありますが、法人契約の場合はクレジットカード払いができないケースが少なくありません。
支払い方法の選択肢も各通信会社の公式サイトに記載されているので、事前に調べておきましょう。不明な場合は、通信会社に問い合わせて確認しておく必要があります。
大手キャリアとの違いはほかにも
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大手キャリアの提供する通信サービスと格安SIMとでは、通話料や通信料の違いはもちろん、利用できるサービスも異なります。特に以下のサービスは、格安SIMでは利用できないので注意しましょう。
キャリアメールが利用不可
各通信キャリアが独自のドメインで提供しているキャリアメールは、格安SIMでは利用できません。格安SIMでメールを使用する場合、Gmailをはじめとしたフリーメールを使用するのが一般的です。格安SIM独自のメールアドレスが提供されている場合は、そちらを利用してもよいでしょう。
近年はキャリアメールよりも、端末を選ばず自由に使えるフリーメールを利用する人が多いため、これまでキャリアメールを使っていなかったのであれば、特に影響はないはずです。
災害用伝言ダイヤル(171)が利用できない
格安SIMでは、NTT東日本、NTT西日本が提供している災害用伝言ダイヤル(171)も利用できません。災害用伝言ダイヤルは大地震などが発生した際に、安否などの情報を音声メッセージとして録音・再生ができるサービスです。
大手キャリアの通信サービスを契約していれば『171』の番号から利用できますが、格安SIMでは使えません。個別に災害伝言板アプリをインストールして利用しましょう。
大手キャリアが独自に提供している災害用伝言板も利用できません。ただし、NTT東日本、NTT西日本が提供する伝言版サービスである『web171』はデータSIMでも使えるので、災害発生時にはこちらを利用しましょう。
まとめ
格安SIMを法人契約する場合、個人契約とは違ったサービス内容になる点に加えて、契約の条件も異なります。仕組みや契約の種類、サービス内容を知った上で、適切な通信会社・プランを選択しなければいけません。
社員の利用状況によっては、大手キャリアが提供する『かけ放題』などのプランを選んだ方が割安になる可能性もあります。格安SIMだけにこだわらず、大手キャリアやサブブランドのサービスも検討しながら、本当に自社に合ったサービスを導入することが大事です。
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