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法人契約可能な格安SIM4選。特徴とサービスの選定基準を解説
法人携帯は、月々のコストをいかに低く抑えるかが課題です。格安SIMを導入する企業が増えていますが、安さと引き換えに何かデメリットはないのでしょうか?格安SIMを法人が利用する利点や注意点、サービスの選定基準について解説します。
格安SIMは法人契約できる?
(出典) photo-ac.com
格安SIMのメリットは、大手キャリアに比べて月々の通信費が安く済む点です。個人での契約ではごく当たり前の存在になりつつある格安SIMですが、そもそも法人契約は可能なのでしょうか?
そもそも格安SIMとは?
まずは格安SIMの定義について確認しておきましょう。スマホやタブレットなどの通信デバイスを使うためには、通信会社から提供されるSIMカードを端末に挿入する必要があります。
SIMカードには契約者を識別するための情報が記録されており、各通信会社はカードを契約者に有料で貸し出すことで、通信サービスを提供する仕組みです。
格安SIMとは、通信サービスを格安で提供する会社、またはそのサービスを指します。格安SIMを提供する会社は、自社では通信設備(基地局・回線)を保有せず、大手キャリアの回線を借りてサービスを展開しているのが特徴です。格安が実現する理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 通信設備を維持するコストがかからない
- 実店舗が少なく、店舗運営費用(人件費・家賃など)が抑えられる
格安SIMの会社は、『MVNO(仮想移動体通信事業者)』と呼ばれる点も覚えておきましょう。
法人契約と個人契約との違い
法人契約と個人契約は、主に『契約方法』『所在地確認の義務』『支払い方法』『料金プラン』が異なります。
個人契約はオンライン契約が主流ですが、法人契約は郵送による契約が一般的です。担当者によるヒアリングや見積書作成、法人や契約担当者の本人確認などを経て契約に至るため、個人契約よりも時間や手間がかかります。法人契約では、対面による本人確認書類の原本提示、非対面の場合は簡易書留の受領など、会社の名称や所在地の確認が必須です。
支払い方法は、個人契約がカード決済が一般的であるのに対し、法人契約は『口座振替』や『口座振込』にも対応しています。一方で、カード決済を不可とする通信会社もあるので、契約前に確認しましょう。
料金プランについては、どの通信会社でも『個人向け』と『法人向け』を明確に区別しています。
格安SIMを法人契約するメリット
(出典) photo-ac.com
格安SIMというと、月々の通話料・通信量を下げたい個人が選択するイメージがあるかもしれません。格安SIMを契約する法人は、どのような点にメリットや魅力を感じているのでしょうか?
法人用の割引プランやサービスがある
法人契約の大きなメリットは、月額料金の大幅なコストダウンを図れる点です。法人向けの割引プランやサービスが用意されているため、個人契約よりも料金が割安になる可能性が高いでしょう。
大手キャリアにも法人に特化した割引サービスがありますが、格安SIMの利点は、元々安い料金がさらに安くなるという点です。
契約台数によって割引価格が異なったり、割引の対象外となる機種の組み合わせがあったりするため、契約時は割引が適用される条件をよく確認することが重要です。
端末の運用や支払管理がしやすい
法人契約では、契約した全ての通信料金を口座振替や請求書払いでまとめて支払うのが一般的です。支払いに手間がかからない上、明細の内容をそのまま経費として計上ができるのは大きなメリットでしょう。
同一法人名義の請求は一本化されるものの、利用明細には個別の使用状況が反映されるので、『いつ・誰が・どのくらい』使ったのかも一目瞭然です。
各端末やユーザー情報は、管理者が専用サイトで一元管理する形になります。盗難・紛失の際は、オンラインで利用の一時停止や利用再開ができるため、機密情報の流出を未然に防げるでしょう。
海外対応しているサービスも多い
『国際ローミングサービス』を提供するMVNOも多く、サービスを申し込めば海外でも問題なく通話・通信ができます。国際ローミングとは、国内で契約している携帯電話を海外でも利用できるサービスのことです。
SIMカードを差し替えたり、海外用モバイルWi-Fiをレンタルしたりといった手間が省けるため、忙しいビジネスパーソンには最適でしょう。
ただし、国内と同じ通話料やデータ通信料が適用されるとは限りません。海外で電話を受ける場合は『着信料』がかかる点にも注意が必要です。海外での料金は、公式HPを見るか問い合わせをして必ず確認しましょう。
また、プランや機種によっては、国際ローミングが契約できない場合もあります。
格安SIMを法人契約する際の注意点
(出典) photo-ac.com
料金の安さに惹かれて格安SIMを契約したものの、『通信速度が安定しない』『安全性が気になる』といった声も聞かれます。安さと引き換えに存在するデメリット・注意点を知り、納得した上で契約に進みましょう。
格安SIMの注意点については以下の記事でも詳しく説明しています。
格安SIMで法人スマホを利用する方法、注意点。通信の品質は?
通信速度が遅くなる場合がある
MVNOは自社の回線を保有せず、他社の通信設備を借用しています。ドコモ回線やau回線など、回線自体は大手キャリアと同じですが、通信速度や安定性は大手キャリアよりも劣る傾向があります。
特に利用者が増える時間帯は、回線の混雑によってつながりにくくなるため、業務に支障をきたす恐れもあるでしょう。
業務上『データのやりとりが多い』『いざというときにつながらないのは困る』というケースでは、格安SIMよりも大手キャリアの方が安心かもしれません。
セキュリティは有料プランの加入が必要
格安SIMでは、基本プランは必要最低限の機能に限られます。セキュリティに関するサービスは、通常『オプション』の扱いになる点に注意が必要です。
セキュリティ対策が不十分では、個人情報や会社の機密情報が外部に流出する恐れがあります。多少のコストはかかっても、オプションに加入するのが望ましいでしょう。
例えば、mineo(マイネオ)では、月額制の有料オプションを用意しています。マルウェアやスパイウェアの検出、盗難紛失対策など手厚い内容です。
クライアントセキュリティサービス(ESET) | mineo法人
法人契約できる格安SIMを選ぶ基準
(出典) photo-ac.com
法人契約と一口にいっても、料金プランや利用回線は提供会社によってさまざまです。格安SIMを選ぶ際は自社の事情に照らし合わせながら、最適なものを選びましょう。
料金プランが利用環境に合っているか?
法人携帯を契約する際は、各社のプランを比較した上で『自社の利用環境に合っているか』を考える必要があります。契約に際し、以下の項目を洗い出しておきましょう。
- 通話の利用状況(頻度・時間)
- データの利用状況(頻度・時間・用途)
- SNS利用の有無
『通話がメインでデータ通信はたまにしか使わない』という場合は、かけ放題のオプションや通話料金の割引プランがある通信会社を選ぶのが理想です。
『外出先でSNSをよく更新する』『オンラインでのやりとりが多い』という場合は、データの大容量プランがあるところを選びましょう。データの繰り越しや社員間でのシェアができるプランもあります。
どの通信回線を使用しているか?
MVNOが使用する通信回線は、『NTTドコモ』『au』『ソフトバンク』のものです。ただしBIGLOBEモバイルやmineoのように、複数の回線から選択できるケースもあります。
- NifMo:NTTドコモ回線のみ
- BIGLOBEモバイル:NTTドコモ回線・au回線から選択可能
- mineo:NTTドコモ回線・au回線・ソフトバンク回線から選択可能
回線によって、電波の安定性や通信速度、利用可能エリアが異なるため、自社の状況に合致したものを選びましょう。一般的に利用可能エリアが広いのはNTTドコモ、速度が速いのはソフトバンク、電波の安定性が高いのはauとされています。
法人契約できる格安SIM4選
(出典) photo-ac.com
日本の移動通信業界は大手キャリアの独占状態が続いていましたが、格安SIMの登場により、契約を見直す法人が増えています。
安さに加え、サービスやプランのバラエティも豊富で、自社に合ったものが見つかりやすいのが利点です。法人契約ができる代表的なMVNOを紹介します。
IIJモバイル
IIJ(アイアイジェイ)モバイルは、日本のインターネット接続サービスの先駆者IIJが提供する格安SIMです。回線は、NTTドコモとKDDIの2つの通信キャリアから選べます。
プランは大きく、月額プランか年額プランです。サービス内容によって金額が異なります。3GBの場合の料金例(初期費用別)は以下の通りです。
(NTTドコモ・タイプD)
- 定額プランライト(月額):データ通信:900円・データ通信+SMS:1,040円・データ通信+SMS+音声:1,600円
- 定額プランライトいちねん(年額):データ通信:1万円
(KDDI・タイプK)
- 定額プランライト(月額):データ通信+SMS:900円
- 定額プランライトいちねん(年額):データ通信:1万円
定額プランライトの場合、『バンドルクーポンオプション』の加入で、高速データ通信量を50GB(基本3GB+47GB)まで増やせます。余ったデータ通信量は、翌月への繰り越しが可能です。
mineo
mineo(マイネオ)は、NTTドコモ・au・ソフトバンクの三つの回線に対応しています。料金は回線ごとに若干の違いがあるため、よく比較した上で契約しましょう。
データ通信+音声通話(デュアルタイプ)の基本プランは、データ容量別に6段階(500MB~30GB)に分かれています。以下は、3GBプランの料金例です。
- auプラン(Aプラン):月額1,661円
- ドコモプラン(Dプラン):月額1,760円
- ソフトバンクプラン(Sプラン):月額2,145円
一つの企業管理IDで2回線以上の契約をすると、各回線の月額基本料金から55円が割り引かれます。繰り越した容量を社内でシェアできる『パケットシェア(無料)』が利用できるので、データの無駄がありません。
BIGLOBEモバイル
法人向けBIGLOBE(ビッグローブ)モバイルは、『2020年オリコン顧客満足度ランキング』の格安SIM部門で1位を獲得しています。契約前にお試し利用ができるため、契約後に「速度が遅すぎて使えなかった」と後悔する心配がありません(音声通話SIMを除く)。
データ通信+SMS+音声通話の料金プランは、データ容量別に7段階(0GB~30GB)に分かれています。3GBの『プランR』は月額1,100円、6GBの『プランM』は月額1,650円と、格安SIMの中でもダントツの安さを誇ります。
以下のように、基本プランに追加できる『通話オプション(BIGLOBEでんわ)』が豊富なのもBIGLOBEモバイルの魅力でしょう。
- 3分かけ放題:月額660円
- 10分かけ放題:月額913円
- 通話パック60(最大60分の通話が可能):月額660円
- 通話パック90(最大90分の通話が可能):月額913円
【公式】法人向け格安SIM/スマホならBIGLOBEモバイル | BIGLOBE biz
参考:おすすめの格安SIMランキング2020年 オリコン顧客満足度調査|調査企業34社の比較・クチコミ・評判
NifMo
NifMo(ニフモ)は、インターネットプロバイダーサービスのNifty(ニフティ)が提供する格安SIMです。利用回線はNTTドコモ一択なのが難点ですが、『最低利用期間がない』『SIMカードのお試しサービスがある』といった点で高評価されています。
利用者ごとにデータの使用量が異なる場合は、『法人シェアプラン』を選択するのがおすすめです。データ容量を複数のSIMで分け合えるので、効率よくデータを使い切れるでしょう。以下は、法人シェアプラン(音声通話対応)の料金例です。
- 法人シェア5GB:月額2,750円
- 法人シェア10GB:月額4,290円
法人向けプランは、『基本プラン』『法人シェアプラン』『M2M向けプラン』の3本建てで、データ容量ごとにプランが細かく分かれています。詳しくは公式HPを確認しましょう。
まとめ
格安SIMを選択すると、法人携帯にかかるコストを大幅に削減できます。契約人数が多い場合は法人契約の割引が適用されるため、個別で契約するよりもお得です。
一方、大手キャリアに慣れている場合には、格安SIMは通信速度や安全性に懸念が残ります。通信設備をレンタルしている以上、大手キャリアよりも通信速度が速くなることはあり得ません。
近年は大手キャリアでも通信料金の見直しを行っており、割引やキャンペーンなどを活用すれば、格安SIMとほぼ変わらない料金帯になるケースもあります。メリット・デメリットを理解した上で、自社に合った法人携帯を選択しましょう。
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