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コスト削減ばかりは社員のモチベーションを下げる要因につながる
失敗しやすいコスト削減も一度ポイントと重視すべき点を理解すれば、成功確率が格段に向上します。
なぜコスト削減が失敗するのか、その失敗を起こさないためにはどこに着目すれば良いのか、コスト削減のキーワードを探っていきます。
目次
コスト削減のやりすぎは社員にストレスを与える?失敗例から学ぶコスト削減の秘訣
コスト削減は会社の利益を上げるために大切な行動ですが、やり方を誤解して強引に推し進めたり、コスト削減のために社員に無理を押し付けたりすると、社員のストレスを増加させる原因になります。
コスト削減の失敗例をもとに、どうすれば成功するのかを考えていきましょう。
IT化によるコスト削減が社員のストレスになってしまった
<IT化によるメリット>
・事務コスト削減
・業務の効率化
・働き方改革
<IT化によるデメリット>
・ツールを使いこなす社員の負担増加
・慣れるまで成果が感じられない
・活用できない社員の発生
主にペーパーレス化や生産管理ツールの導入、業務連絡ツールの導入など、今まではアナログで行っていた業務をITに置き換えると、大きなコスト削減につながる場合があります。
しかし結果ばかりを求めすぎると、その過程を担う社員のことがおろそかになり、社員のストレス増加を招いてしまいます。
例えばペーパーレス化であればプリント代に加えて、資料を保管するスペースも不要になることでコスト削減が期待できます。
その一方、モニターで文章を確認することが増え、デュアルモニターや大型モニターを導入しないと作業効率が下がってしまうかもしれません。
作業状況の共有が社員のプレッシャーになってしまった
<作業状況共有のメリット>
・それぞれの進捗が把握でき、引継ぎがスムーズに行える
・必要な箇所に人員をまわせるため、無駄が減る
・作業の重複が無くなる
<作業状況共有のデメリット>
・仕事に緊張感が生まれ、作業しにくくなる可能性がある
・常に監視されているように感じさせてしまう
これは生産管理システムの導入や、業務状況の報告連絡の義務付けなどで発生する失敗例です。
個人の進み具合を社員全員で共有すると、作業の重複排除や引継ぎの円滑化が期待できますが、自分の進捗具合にプレッシャーを感じる社員も出てきます。
また上司や同僚からの目も気になるでしょう。社員同士の摩擦を生まないように、配慮して適度にシステムを導入する必要があります。
節約ばかり求められ作業効率の低下を招いてしまう
<節約のメリット>
・手軽にコスト削減が実施できる
・積み重ねると大きな成果を生む
<節約のデメリット>
・節約にこだわりすぎるあまり、ミスや遅延を招く
・社員の負担になる
使わない部屋の電気を消したり、紙の無駄遣いをやめたり、紙コップを廃止したり、節約は初期投資なしで実施できる一番手軽なコスト削減です。
しかし場合によっては必要な経費を削ってしまい、業務に支障をきたしてしまいます。
また「こまめに電気を消しましょう」とはいうものの、オン/オフの繰り返しの方が消費電力が多く本末転倒になることも。
実施する際は社員同士で意見を出し合い、明らかに無駄と感じている部分をコスト削減に充てると、ストレスフリーかつ効果が明確な対策を実施できます。
コスト削減により社員同士の関係が悪くなってしまった
コスト削減にあたり、まずは上司や責任者にコスト削減の方針を伝えます。
伝えられた側は成果をあげるために部下に協力を求めますが、これが社員の関係悪化を招くこともあるのです。
特にトップダウンによる現場にミスマッチなコスト削減は要注意。
逆に現場がコスト削減を提案した場合や、不便さを改善できるコスト削減方法を提案した場合は、社員の協力も見込め成功する可能性も高くなります。
コスト削減には正しい順序がある
実はコスト削減には、成功しやすい鉄則の順序があります。
まず第一に着手すべきなのが「業務効率改善」、その次に「経費削減」、そして最後が「人件費削減」です。
ただし人件費削減は十分注意が必要です。順を追って説明します。
コスト削減①:業務効率改善
コスト削減の土台となる部分です。
ほかのコストを削っても、結果的に業務に無駄あると大きな効果は望めません。
業務に無駄がないか確認を行い、無理がない範囲でコスト削減を進めましょう。
具体的な業務効率改善は以下の通りです。
・無駄な手順を無くす(承認作業など)
・外注できる業務は外注して安く済ませる(清掃など)
・社員の意思疎通を促進する手段を考える
業務効率改善には社員の協力体制が必須。
無駄をなくしつつ、仕事に対する満足感を増幅させるのが理想的なコスト削減です。
コスト削減②:経費削減
手段が多種多様で、企業によっては大きな成果を生み出せる可能性を持つのが経費削減です。
ただし無理しがちなので、適度に行うのがポイントです。
実例のある経費削減は以下の通りです。
・マニュアルのPDF化でペーパーレス促進
・社内の認証書類を全てペーパーレス化
・会計システム導入による伝票代(用紙代やコピー代)の削減
・事務用品をまとめ割引料金で購入
・インターネット回線の再検討
・導入済みのITサービスの再検討
コスト削減③:人件費削減
企業の人件費は大きな割合を占めているため、リストラすれば大きな削減効果があるでしょう。
しかしリストラ対象の社員と、その社員が属していた部署への負担が増加するため、あまり好ましくない方法でもあります。
適切な人件費削減の方法は以下の通りです。
・社員が働きたい分だけ働ける、働き方改革の実施
・業務を見直し、残業を徹底的に減らす
・社員には重要な業務だけを任せ、それ以外は外部委託を取り入れる
このように人件費削減はリストラだけでなく、勤務時間の見直しによっても実現できるのです。
コスト削減は社員のモチベーションを下げない適度さが重要
失敗例や正しい順序を見てわかる通り、コスト削減で失敗する一番の理由は、無理を押し付けてしまうことです。
コスト削減ばかりに固執せず、売上高の向上を同時進行すると、より大きな利益が見込めます。
特に人件費の削減には慎重な検討が必要です。
リストラが始まった企業は終わりが近いと言われています。
他のコストが削れず、初期費用の投資もできない状態なので、削りやすい人件費を削っている状態です。
社員から「うちの会社はコスト削減して良かった!」と言われるようなコスト削減を実施するためには、現場との協力が欠かせません。
通常業務を行っている現場が無理なく行える行動を実施してもらい、徐々に規模と範囲を広くしていくと良いでしょう。
コスト削減を成果としてモチベーションを高める方法もある
無理なコスト削減は社員のモチベーション低下を下げてしまいかねません。
反対にコスト削減を成果として設定することで社員のモチベーション向上が期待できます。
各部署で取り組むべきコスト削減目標を設定し、優秀な成果を残した部署に一時金を支給することで、社員が前向きにコスト削減に取り組む可能性が生まれます。
電気や通信費を見直してみる
社員にストレスをかけずにコスト削減につなげる方法として、電気や通信費の見直しが挙げられます。
例えば、電気であれば2016年の電力自由化によって、大手電力会社以外にも電力小売業に参加しています。
大手電力会社含め、複数の電力会社による豊富な電力プランのなかから比較することでコスト削減が期待できます。
また、通信費削減方法として、法人携帯の契約が効果的です。
法人として携帯を契約する場合、費用が抑えられる傾向にあり、通常の契約よりもコスト削減につなげられます。
また、法人携帯の場合、法人に一括に請求がくるため、携帯電話の管理という点でもコスト削減が期待できます。
本当に正しい?コスト削減は慎重に進めるのがポイント
余裕を持ったコスト削減が成功につながるのがよく分かりました。
本当の意味での無駄を見つけ、その無駄を削るのがコスト削減です。
削りやすいところから削ろうとすると現場への負担が多くかかるので、この点に注意して行ってみてください。