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テレワークを導入すると、さまざまな理由で残業が発生しやすくなります。残業の発生原因や放置リスクを理解し、適切な対策を講じておくことが重要です。隠れ残業や長時間労働を防ぐための有効な方法について解説します。
(出典) photo-ac.com
テレワークを導入する際は、残業の扱いに頭を悩ませがちです。テレワーク中は従業員の残業を認めるべきなのでしょうか。
従業員に対して残業を禁止する規則を会社が独自に設けることは可能です。テレワークを導入している会社の中には、残業を禁止している会社も少なくありません。従業員の状況を把握しにくいテレワークでは、労働時間を正確に管理するのが困難であるためです。
テレワーク中の残業を認めない会社が多い主な理由には、オンオフの切り替えが上手くできずに長時間労働になりがちであることが挙げられます。
残業時間が長くなるほど会社側のコストが増える上、従業員の心身の健康にとっても残業が長引くことは好ましい状況とは言えません。
テレワーク中の残業には会社と労働者の双方にリスクがあるため、基本的には禁止すべきだとの考えには一定の理解を示す向きがあります。ただし、単にルールとして禁止するだけでは、隠れ残業が発生する恐れがあります。
日本労働組合総連合会の調査結果によると、テレワーカーのうち半数を超える人が、通常の勤務よりも長時間労働になったことがあると回答しています。残業を申告しなかったり、残業を認めてもらえなかったりする人も、半数を超えています。
残業時間を増やそうとする従業員だけが、隠れ残業をしているわけではありません。例えば、就業時間後につい業務メールを見てしまい、顧客に電話をかけたり仕事の依頼に応じたりしてしまうこともあり得るのです。
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テレワーク中の残業には、会社と従業員の双方にとってリスクがあります。残業を放置するとどのようなリスクが生じるのかを確認しましょう。
通常の出社勤務と同様に、テレワークでも残業が発生すれば残業代を支払わなければなりません。残業を放置すれば、当然に労働コストが増加します。
ただし、全ての残業が残業代の支払い対象になるとは限りません。残業禁止は業務命令であり、禁止されているのにもかかわらず残業した場合においては、業務命令に従わなかったとみなされて支給対象外になる可能性があります。
隠れ残業でも残業代を支払わなければならないケースは、明らかに業務量が多く残業せざるを得ない場合や、納期に間に合わずに残業を余儀なくされる場合などです。
テレワーク中の残業を放置するリスクとしては、長時間労働により従業員が心身の健康状態を崩しかねないことも挙げられます。厚生労働省「過重労働とメンタルヘルス」によると、「睡眠時間の減少はメンタルヘルス不調者の発生頻度を高める」とされています。
残業が健康状態に及ぼすリスクについては、労働者自身が考えなければならない問題であると同時に、会社側も健康・安全配慮義務の観点から重視すべき問題でもあるのです。
厚生労働省の「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」にも、労働安全衛生法などに基づき、会社はテレワーカーの健康確保を図る必要があると記載されています。
参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン| 厚生労働省
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隠れ残業が発生してしまう背景には、評価制度の不備やテレワークに慣れていないことがあります。具体的にどのようなことなのかを見ていきましょう。
長時間労働に陥りやすい評価制度になっている場合は、隠れ残業が発生しやすくなります。従業員が自分の評価を高めるために、残業せざるを得ない状況に陥っているのです。
例えば、裁量労働制において稼働率を重視する評価制度になっているケースでは、稼働率を高めるために残業しなければならなくなることもあるでしょう。
隠れ残業が発生しないようにするためには、バランスのとれた評価を行うことが重要です。成果評価・能力評価・情意評価のいずれにも偏らない、適切な評価制度になるように見直してみましょう。
在宅勤務においては、私生活との切り替えが上手くできないことも、隠れ残業が発生する理由の一つになります。業務に集中できず生産性が下がるために残業が増えてしまうのです。
アドビが実施した調査によると、「生産性が下がった」と回答したテレワーカーの割合は43%となっています。勤務環境が整っていないことや集中しづらいことが主な理由です。
自宅にいるとさまざまな誘惑に負けやすくなるほか、家族の存在も気になってしまいます。生産性が低下して残業が増え、長時間労働の疲労でさらに生産性が下がるという悪循環に陥ってしまうのです。
参考:アドビ、グローバル調査「COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査」を発表
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残業に関するルールを整備すれば、テレワーク中の残業問題の解決を図れるでしょう。また、勤務体系の見直しも必要です。
隠れ残業の防止に有効と考えられるのは、残業を事前許可制にする方法です。残業するための合理的な理由がなければ申請できないため、無駄な残業が発生しにくくなります。
残業の事前許可制を導入する場合は、残業許可の基準を設けることが大切です。従業員が申請した場合にのみ残業を認めるなど、残業を認める申請ルートも決めておきましょう。
事前許可制に関するルールを定めておかなければ、申請・承認のワークフローをこなすだけの仕組みになってしまいかねません。承認基準や申請ルートを決め、意味のある制度にすることが重要です。
業務時間外に電話やメールで連絡を受けると、従業員はどうしても気になって対応してしまいがちです。しかし、業務時間外の連絡に対応した場合、長時間労働に発展しやすくなります。
テレワークでは決まった時間にパソコンの電源を落とすように指示したり、会社側で業務時間外のメール送受信機能に制限をかけたりして、長時間労働を防ぎましょう。
近年は「つながらない権利」を尊重する動きがみられるようになり、テレワーク以外でも勤務時間外の連絡を禁止する会社が現れ始めています。海外ではつながらない権利が法制化されている国もあるほどです。
在宅勤務のテレワークで隠れ残業が多い場合は、テレワーク中の服装を指定するとよいでしょう。出社時と同じ服装に着替えることで、気持ちを切り替えて業務に取り組んでもらえます。
また、中抜けのルールを設定も欠かせません。中抜けを休憩時間として扱うルールにすれば、本来の労働時間を確保できるため生産性が下がりにくくなります。
ただし、ルールで固めるだけでなく従業員への配慮も必要です。従業員の状況把握に努めた上でヒアリングやアンケートを行い、やりにくさを感じることがあるなら会社として何ができるかを一緒に考えましょう。
テレワーク中の残業を減らす方法としては、勤務形態の見直しも挙げられます。テレワークに合った勤務形態は以下の三つです。
・フレックスタイム制
・事業場外みなし労働時間制
・裁量労働制
上記のいずれも時間的な自由度が高くなるため、従業員の意識が変わり、生産性をキープできるでしょう。
ただし、これらの勤務形態を採用するためには、適用条件を満たす必要があります。厚生労働省のガイドラインをよく読み、自社の状況で適用できるか確認しておきましょう。
参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン | 厚生労働省
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テレワークの勤怠管理に役立つツールを導入することで、従業員の労働時間を管理しやすくなるため、残業の発見・防止につながるでしょう。各種ツールと活用方法を解説します。
勤怠管理システムを導入すれば、テレワークにおける労働時間を適切に管理しやすくなります。そもそも勤務時間の正確な管理は会社の義務であり、残業問題の有無にかかわらず会社として努力しなければなりません。
勤怠管理システムで労働時間を正確に記録するとともに、日報の提出を従業員に義務付けるなど、密なやりとりを行う仕組みを作ることが大切です。
チャットツールを導入することで、始業・終業・休憩などの報告をより円滑に行えるようになります。チャットツールの報告用テンプレートを使用すると、手間が省けて便利です。
チャットツールは従業員とのやりとりがスムーズになる便利なツールです。しかし、テキストのみのコミュニケーションでは意思疎通が上手くいかないことも多く、業務に支障をきたすこともあります。
適宜、Web会議システムも使ってヒアリングを行うなど、定期的に音声でのコミュニケーションを取り、従業員が抱える問題を話しやすくする機会を増やすことも重要です。
業務内容や進捗状況の可視化・共有も意識しましょう。会社やチームでお互いをフォロー・サポートし合えば、業務がスムーズに進むため残業の削減も期待できます。
連絡が頻繁に行われる会社の場合は、テレワークの従業員に会社携帯を配布するのがおすすめです。会社携帯は法人限定のプラン・割引で個人携帯より費用を抑えられる上、セキュリティも強化できます。
業務時間外に会社携帯の電源を切るようにルール化しておけば、電話やメールを受け取ることがないため、テレワークの従業員の隠れ残業も減らせるでしょう。
テレワークで会社携帯を導入したいのなら、ベルパークに相談しましょう。ソフトバンク・au・docomoに対応しており、会社の状況に合わせたプランの提案を行っています。
テレワークでは長時間労働や隠れ残業が発生しやすくなります。残業問題の解消を図るためには、事前許可制にしたり勤務形態を見直したりするのが有効です。
勤怠管理システム・チャットツール・法人携帯も、テレワークの残業削減に役立ちます。テレワークにおける残業の管理方法を理解し、テレワーク導入前に対策を講じておきましょう。