投稿日: 更新日:
テレワークだとさぼりがちになる?知っておきたい原因と対処法を紹介
テレワークを導入した会社では、部下がさぼっていないか気にする管理職が増えているようです。会社側は、さぼりが生じる原因を明らかにした上で、改善策を考えなければなりません。すれ違いが起きないように、働き方が可視化できるツールの導入も検討しましょう。
目次
テレワークでよく生じる問題点
働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響で、社員の働き方をテレワークに移行した会社も多いでしょう。通勤の負担がなくなり、時間を有効に使える点はメリットですが、オフィスワーク時にはなかった新たな問題が浮上しています。
部下がさぼっていないか疑心暗鬼に
テレワークでは、仕事の進め方や労働時間、休憩時間などが個人の裁量に委ねられます。部下の仕事ぶりを逐次チェックできなくなるため、仕事をさぼっているのではないかと疑心暗鬼に陥る管理職が増えているようです。
リクルート マネジメント ソリューションズが2020年に行った『テレワーク緊急実態調査』によると、56%以上の管理職が『部下がさぼっていないか心配である』と答えました。
勤務状況の管理がしっかりと行われていない会社では、モラルやモチベーションが低下し、仕事の手を抜く社員も出てくるかもしれません。上司のマネジメント力が問われるといってよいでしょう。
参考:温かく明快なコミュニケーションで、誰も孤立させないテレワークを|リクルートマネジメントソリューションズ
上司にさぼっているのではと思われる不安
部下がさぼっていないか疑う上司に対し、部下は上司からさぼりを疑われることにストレスを感じるようです。
テレワークの導入で行動評価が難しくなる中、成果物の質の高さで人事評価を行う会社が増えています。成果物の進捗や提出が遅れると、「さぼっていると疑われているかもしれない」「自分の頑張りは適切に評価されるのだろうか?」と、不安を感じてしまうのです。
仕事をしているかどうかの判断基準は、人によって異なります。社員に不安を与えないためにも、チーム内で仕事の定義を見直したり、プロセスを可視化できるツールを導入したりする配慮が必要かもしれません。
実際に部下はさぼっているのか
公益財団法人 日本生産性本部は、20歳以上の雇用者(自営業などを除く)に対して『自宅での勤務で効率が上がったか』という質問をしています。
- 効率が上がった:7.2%
- 効率がやや上がった:26.6%
- 効率がやや下がった:41.4%
- 効率が下がった:24.8%
効率が上がっていない人が全体の約66%を占めており、自宅での作業がうまくいっていないことがうかがえます。管理者の目が行き届かない環境では、多かれ少なかれ気の緩みが生じると考えてよいでしょう。
管理職の中には「自宅なのだから、休憩を設ける必要はない」と考える人もいるかもしれません。確かに、テレワークは仕事とプライベートの境界線が曖昧になりますが、労働基準法は全労働者に休憩時間を一斉に付与することを定めています。
労使協定で一斉付与を適用除外とした場合を除き、休憩は一斉に与えるのが原則です。
参考:図23 自宅での勤務で効率が上がったか|新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査 調査結果レポート|公益財団法人 日本生産性本部
参考:2-3休憩時間の取扱いについて|テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省
テレワークでさぼりがちになる原因
テレワークをしている社員全員がさぼっているとは言い切れませんが、自宅という環境のせいで多くの社員が仕事の効率低下に直面しているのは事実です。対処法を考えるにあたり、なぜさぼりがちになるのか原因を明らかにしましょう。
緊張感・集中力が続かない
一つ目の原因としては、緊張感や集中力が長続きしない点が挙げられます。
基本的に自宅は、仕事を想定した環境ではありません。テレビやベッド、趣味のグッズなど、集中力の妨げになるもので溢れかえっています。上司の監視の目がないことも加わって、休憩時間がいつも以上に長くなるケースは珍しくありません。
家族が家にいて、話し声や生活音が気になって仕事に集中できない場合もあるでしょう。プライベートと仕事の境界線が曖昧な限り、効率の低下は免れないと考えられます。
報連相がしづらい環境
二つ目の原因としては、報連相がしづらい環境が挙げられます。チームで仕事を進めていく上で、報告・連絡・相談は基本中の基本です。
社員の業務環境が整備されないままテレワークに移行した場合、『相談のタイミングが分からない』『コミュニケーションが取りづらい』『他のメンバーの進捗が確認できない』といった問題が生じます。
コミュニケーションの機会が減少すると、社員は自分の殻に閉じこもる時間が多くなります。上司から報告や連絡を求められないのをいいことに、さぼってしまう社員が出てくるかもしれません。
仕事の進捗が見えにくく達成感がない
テレワークで他のメンバーの進捗状況が見えなくなると、チームとしての一体感が醸成されにくくなります。仕事に対するモチベーションが低下し、つい手を抜いてしまう人も出てくるでしょう。
仕事の全体像や目的がしっかりと共有されない場合、日々の業務が事務的になります。仕事に対する意義を見失い、上司の指示待ち状態になる人が続出する可能性もあるでしょう。コミュニケーションや情報共有の仕組みを整え、さぼりのきっかけを与えないことが大切です。
さぼりへの対処法【緊張感】
オフィスにいるときと同じような緊張感を保つには、環境の整備や人事評価の見直しが欠かせません。さぼりの抑制につながるだけでなく、仕事への意欲も向上するでしょう。会社側が行うべき具体的な対処法を解説します。
環境整備のための準備金を用意
テレワークで仕事の生産性を上げるポイントは、自宅を仕事に適した環境にすることです。とはいえ、環境整備のための全費用を社員に負担させるのは好ましくありません。
業務に必要な設備や備品は、会社側で用意するのが基本です。準備金・物品貸与・テレワーク手当などの方法で、社員をサポートしましょう。私用と業務の線引きがあいまいになりがちな通話料やインターネット利用料は、負担割合をあらかじめ話し合っておく必要があります。
自宅に子どもや家族がいて業務に集中できない社員に対しては、シェアオフィスやサテライトオフィス、コワーキングスペースなどの利用も検討するとよいでしょう。
評価制度の見直しも検討する
テレワークの最大の課題といえるのが、上司が部下の様子を目視できない点です。この場合、勤務中の態度を基準とする『定性型』の人事評価から、成果物を基準とする『定量型』に変えた方が、さぼりの抑制につながる可能性があります。
ただし、職種や業務内容によっては、完全な定量型では評価できない場合もあるでしょう。上司に職務怠慢を疑われるのが心配な社員が一定数いることを考慮し、不公平が生まれない評価の仕組みを考える必要があります。
さぼりへの対処法【報連相】
多くの社員は、テレワーク時における報連相のしづらさに悩んでいます。コミュニケーション不足は社員同士のつながりを弱める要因になるため、会社側が主体的に対策法を考えなければなりません。
コミュニケーションの活発化
1人で仕事をする時間が長くなると、会社への帰属意識が薄れます。雑談ができず、孤独やストレスを感じる人も出てくるでしょう。
定期的にコミュニケーションの機会を設けると、チームの団結力が高まり、個々のメンバーのモチベーションが向上します。週に何回か出社する日を決めるのもよいですし、オンラインツールを活用してフリートークを楽しむのもよいでしょう。
「オンライン上で大勢の人と話すのは苦手」という社員に対しては、テレビ電話による『1on1面談』を実施します。
報連相の頻度をルール化
テレワークの導入後、報連相のタイミングがなかなかつかめず、1人で問題を抱え込む社員は少なくありません。「このタイミングで連絡したら、上司が迷惑するのでは?」と気にする社員がいる点も踏まえ、報連相の頻度や方法をルール化しましょう。
『進捗報告は終業時に必ず行う』『緊急時は電話で連絡する』などの決まりがあると、コミュニケーション不足によるトラブル発生が防げます。「部下が今、どこで何をしているか分からない」という上司の疑心暗鬼も払拭されるでしょう。
報連相に使えるツールとしては、チャット・メール・電話・テレビ電話・社内SNSなどがあります。それぞれの強みを生かしながら、状況に合ったものを使い分けましょう。
法人携帯の導入
テレワークの連絡手段として、法人携帯の導入を検討しましょう。通信費を支給する前提で、個人携帯を使用させる会社もありますが、公私混同はセキュリティー上のリスクがあります。
法人携帯の場合、『社員間の通話は無料』『会社への着信を社員の端末に転送が可能』といったサービスも付帯できるため、利便性がグンと上がります。
法人携帯の導入を検討している人は、ぜひベルパークにご相談ください。専任のコンサルタントが各会社のニーズに合った機種やプランを提案します。
さぼりへの対処法【進捗の見える化】
テレワークで勤務態度が見えなくなると、上司は部下のさぼりを疑うようになります。部下の様子が気になって過干渉になり、お互いにストレスがたまる結果につながりかねません。信頼関係を維持しながら、効率よく業務を進めるポイントは進捗の見える化です。
スケジュールの共有
スケジュールの共有はオンラインツールを活用するのが基本です。クライアントとの打ち合わせやミーティング、納品日などを予定表に記入すると、メンバー全員に共有されます。自動的に同期が行われるため、情報の共有漏れがありません。
ポイントは、1日のスケジュールをできるだけ細かく記載することです。テキストのみのやりとりは認識のずれが起こりやすいため、いつ・どこで・誰が・何をするのかを明確にしましょう。細かくスケジューリングすることで気持ちが引き締まり、時間の使い方にメリハリが生まれます。
パソコンのログ管理
テレワークの勤務状況を可視化するために、パソコンのログ管理を行いましょう。パソコンのログとは、パソコンの使用状況や履歴を記録したデータのことです。ログ管理ツールを導入すると、社員がパソコンをON・OFFした時間が分かり、労働時間の把握に役立ちます。
さらに、操作ログには操作の履歴が残るため、情報漏えいやネットワークの不具合、不正利用が生じた場合に迅速に対応できるでしょう。
ログ管理を実施する際は、社員にしっかりと理由を説明する必要があります。周知しないまま管理を行うと、会社から監視されていると感じてしまうでしょう。
タスク管理ツールの導入
日常業務を効率的に進めるには、タスク管理ツールの導入が欠かせません。プロジェクトの進捗状況の可視化とチーム内での共有が一度に行えるため、業務が滞りなく進むでしょう。以下はツールに搭載されている機能の一例です。
- タスクのスケジューリング・アラート
- ファイルやメッセージの共有
- ガントチャートでの進捗状況管理
- ToDoリストの作成
- カンバンボード機能
- コメント追加
タスク管理ツールには、すべてのデータが記録されます。蓄積したデータを分析して今後のスケジューリングに生かせば、業務効率が大きく向上するでしょう。
働き方を見える化するおすすめツール
リモートワークの広がりに伴い、働き方を見える化できるツールが増えています。クラウド型のシステムは導入のための工事が不要なので、急なリモートワーク化にも十分に対応できるでしょう。複数の機能を備えたおすすめのツールを紹介します。
KING OF TIME
『KING OF TIME』は、リモートワークや変形労働時間制に対応したクラウド型勤怠管理システムです。パソコン・モバイル・ICカード・生体認証などを使って、オフィス以外の場所から打刻ができるため、勤怠管理の手間が大きく省けるでしょう。
さぼりが気になる社員がいる場合は、Windowsのログオン・ログオフから社員の稼働状況をチェックする手もあります。『Myレコーダー(各自の端末からWebブラウザ打刻)』では、打刻時間だけでなく位置情報も記録されるため、管理する側としては安心感があるでしょう。
料金は1人につき月額330円(税込み)で初期費用はかかりません。一部の打刻機は有料となります。
勤怠管理システム市場シェアNo.1「KING OF TIME」
Dialpad
顧客とのやりとりが多い会社の場合、リモートワーク中の電話対応をどうするかが課題となります。『Dialpad』は、リモートワークにおける着信・発信をサポートするクラウド型のビジネスフォンシステムで、スマートフォンやパソコンを内線化できるのが特徴です。
どこにいても事務所の固定電話番号での発着信が可能なため、顧客やクライアントに不信感を与える心配がありません。時間外の自動応答や応答部署の振り分け機能も搭載されており、固定電話への対応のために出社する必要がなくなります。
音声通話・ビデオ通話・チャットをはじめとするコミュニケーションツールが充実しているので、部署内での報連相にも活用できるでしょう。
LINE WORKS
社員間でのコミュニケーションや進捗管理に役立つのが、『LINE WORKS』です。コミュニケーションアプリLINEのビジネス版で、チャット・掲示板・カレンダー・音声通話・タスク・アドレス帳などのビジネスに役立つ機能が搭載されています。
複数人でのトーク画面では、個別の既読確認が可能です。掲示板を使えば、チームへの一斉周知ができるため、情報の共有漏れや『言った・言わない』のトラブルが減少するでしょう。
オンラインでの情報のやりとりには情報漏えいのリスクがつきものですが、LINE WORKSはセキュリティー対策も万全です。管理者が情報を一括管轄・監査できる仕組みになっており、業務に関連のないやりとりや不正な操作はすぐに分かります。
LINEとつながる唯一のビジネスチャット – LINE WORKS
まとめ
新型コロナウイルスの拡大をきっかけに、日本でもテレワーク勤務への理解が進みました。法人携帯やオンラインツールをうまく活用できている会社では、働き方が変わっても高い生産性を維持できていますが、そうでない会社では部下の職務怠慢や業務効率の低下が問題になっているようです。
社員の労働環境を整備しながら業務管理を円滑に進めたい場合は、ベルパークへの相談を検討しましょう。自社の事情に応じた最適なツールやシステムを案内します。